生きてこそ

 メールが来ない。

 一応現代人のたしなみとして、携帯電話は持っているのだが、メールが来ない。

 22時、目を覚ます。携帯電話を手に取る。Eメール、着信一件。どきどきしながら開くと、そこには「sub 家庭教師紹介」。日々こんな感じである。

 どうでもよいが、私に家庭教師になることを求めているのならば、「家庭教師紹介」ではなくて「生徒紹介」ではないのか。私が家庭教師を紹介されても困るのだが。

 まがりなりにも、携帯電話には30人はメールアドレスが登録されている。それなのにメールが来ないのはなぜだろう。と考えてみた。

 多分、私がメールを返さないからなのだと思う。返したとしても、着信の10日後に気まぐれにメールを打ってみたり。そんな奴に誰がメールをよこすのか。

 よくよく考えてみたら、そもそもまともにメールをもらっても、返信するのを面倒くさがっている自分に気がついた。

 勉強を教えてくれる家庭教師なんかいらないが、対人スキルをなんとかしてくれる家庭教師なら紹介してほしい。是非とも紹介してほしい。


 「メールの配信停止を希望される方は下記アドレスに空メールしてください」

 家庭教師紹介メールの配信停止手続き。10秒で終わるはずなのに、なぜか手をかけられない。

 無駄に陰鬱なまま終わってみる。