蹴りたい。

 玄関に、ペットボトルが20本近く散乱している。結果として、毎朝ペットボトルたちを蹴りながら、というかむしろ足蹴にしながら外出している。
 3メートル先にペットボトルを捨てる場所があるのに、引っ越してから2ヶ月以上ペットボトルを放置しているのは、ひとえに私の怠惰のたまものである。たまもの、というポジティブな響きからは想像できないネガティブな光景ではある。


 引っ越す前は、放置し続けたペットボトルの中に、見るのも嫌になるような生き物がわさわさと繁殖していたのでとっとと捨てていたのだが、今、捨てる気にもならないでいるのは、ちゃんと洗ってだけはいるからだ。
 ところがそれでも発生する新生物。ちゃんと洗ったはずなのに。密封された容器、皆無に乏しい栄養。それでも発生する新生物の繁殖力。
 たぶん、パスツール*1が生きていたら、この光景を見てびっくりすると思う。
 ペットボトルに生き物が発生していることにではなくて、玄関の汚さとか散らかり具合にびっくりすると思う。

*1:19世紀、フランス。白鳥の首の形をしたフラスコによる実験で、微生物は自然に生まれるという当時の考え方を否定