あだな
九州にいたある日、私のもとに一通のメールが届いた。名前を名乗らないメール。
あだ名がそのままメールアドレスになっていたので、名乗らなくても大丈夫だと差出人の女性も思ったのであろう。たとえばあだ名が「とんぬら」だとしたら、tonnurah....@....といった感じである。
だが、私の知り合いにはもうひとり同じあだ名の女がいるのだ。私はすぐさまメールを返信した。
…誰?
風呂から上がると、さらに返事がきていた。見ると。
とんぬらです☆
あああ。どうにも取り返しのつかない感じ。それはわかっているのだ。きみがとんぬらなのはわかっている。
もっと深く追求しようかとも思ったが、文体からどちらのとんぬらかを特定できたので何ごとも無かったかのように返信してみた。もうひとりのとんぬらは、☆なんか絶対に使わないし、彼女が私にメールを出すなら「この豚」などといった素敵ワードが随所に散りばめられているいるはずなのである。
要約すると、珍しいあだ名だと自分で思っていても結構そのあだ名の人は他にもいるから気をつけてよね、というただそれだけの話。
これを書いていたら、高校時代他人を「馬糞」とか「ボス」とか陰で呼んでいたことを思い出した。ふとしたところから呼び起こされるノスタルジー。