あなたの背後に迫りくる避妊具

(注)ネタバレ多目
 今日は愉快な映画を見ました。タイトルは、


「キラーコンドーム」


 直訳すると人殺し避妊具。前々から見たいとは思っていたのですが、サークルの部室に行ったところたまたま発見したのでそのまま鑑賞モードに突入です。
 この映画は、1993年にドイツで製作された映画で、確か日本では3年くらい前に公開されたはずです(ソースがないので曖昧ですが)。


 少しあらすじを紹介してみます。


 舞台は2000年(多分)のニューヨーク。なぜか出演者が全員ドイツ語で話す&やたら映像が古臭い(70年代の映画みたいだ)のはご愛嬌でしょう。映画は、ラブホテルで大学教授が試験の点数が足りないことをネタに、女子学生にセックスを強要するところから始まります。ホテル備え付けのコンドームを装着する大学教授。当然、噛み千切られます。コンドームに。水戸黄門以上に予想を裏切らない展開です。ただ、水戸黄門は家族で見ても、気まずくなるのは由美かおるの入浴シーンくらいのものですが、この映画は一味違います。全編通して気まずくなること請け合いです。思春期の男の子が家族と見ていたら間違いなく気まずさに息が詰まるでしょう。どこらへんがそんなに気まずいかは、この後の紹介でおいおい分かってくることと思います。
 さて、大学教授がちんこ噛み千切られて、当然警察が動き出すわけですが、警察のセットが、まるで西武警察劣化コピー。この後1時間半続く映画のチャチさ・B級具合を象徴しているシーンのひとつです。そして、担当の刑事はゲイ。あだ名はマカロニ。そして巨根。マカロニさんは、事件があったラブホテルで男娼と寝ようとします。そして、金玉片方食い千切られます。言うまでもなく、コンドームに。
 「犯人はコンドームだ」
 そう主張しても周りの人間は冷たい態度。この映画で、唯一人間がマトモな態度を示す場面かもしれません。そこで、自力でコンドームを倒すわけです。元同僚かつ現ドラァグクイーン(マカロニさんのせいでそっち方面に目覚めた)の手を借りて。
 しかし、キラーコンドームは1匹だけではありませんでした。今度は大統領候補までもがちんこ噛み千切られます。コンドームに。ここら辺の展開はアメリカ国民にとってみれば国辱モノの展開といえるでしょう。どうでもいいですけど。なお、このあたりのシーンは、コンドームを(動かすために)引っ張る糸が見えて、B級具合がグッと増すと評判です(私はぼーっとしてたので気付きませんでしたが)。また、コンドームの口がでかくないか、と言う意見もありましたが、きっとドイツ、じゃなかった、アメリカ人サイズだからなのでしょう。


 あらすじはこんな感じです。これだけ見るとただのB級映画、という感じがしますが(ただし、超B級)、この映画はそれだけにとどまりません。この映画の特筆すべき点は、B級具合ではなく、むしろゲイ賛美映画としての側面であると思います。プロットを書いた人は、ホラーよりも先にゲイ賛美ありきでストーリーを構築のではないか、と素で疑ってしまうほどです。
 とりあえず、名前のある登場人物は全員ゲイであると言っても過言ではありません。キラーコンドーム増殖後に、マカロニさんは警察官1名をゲイクラブにおとり捜査に向かわせますが、当然のようにその人はそっち方面へと目覚めます。
 また、キラーコンドームを世に送り出した人物(女性)は、ゲイセックスはおろか、避妊まで否定するガチガチのファンダメンタリスト(原理主義者)なのですが(その割に中国人の鼻を噛み千切って監禁するとは、どういう了見なのだろうか?)、聖書で否定されているから悪だ、という彼女の論法に対して、マカロニさんはこう切り返します。
 「神様は愛し合う者を救うんだ、ゲイでもストレートでも愛し合っていることはすばらしい!!」
 恐らく、このシーンが原作者の一番の見せ場なのでしょう。しかしはっきり言って、全く会話が噛み合ってません。その噛み合わない会話に発狂して、彼女は銃をこめかみに当てて自殺しようとします。その銃は弾が入っていなかったのですが(手品用の銃)、発狂しているのでキラーコンドームが大量に飼われているプールに前のめりに倒れます。
 そして、マカロニさんは最初の男娼とシチリアで仲良く暮らすことになってめでたしめでたし。片玉失ったまんまですけどね。
 さて、こんな素敵な映画ですが、興味を持ったなら一度ご覧になることをおすすめします。損はしないはず…多分。


#なお、キラーコンドームの生態(一応生物)についても突っ込みどころは盛りだくさんです。
 キラーコンドームの創造者曰く、「エネルギー自給自足可能」「3種類の動植物(内訳は忘れましたが)を掛け合わせた」「ラテックス(つまりゴム)と細胞を融合」だそうです。頭痛い。