隙間産業

 私の通っている大学では、英語を6単位取る必要があるのですが、そのうち4単位は、学年共通のテキストに基づいて授業が行われています。まあ、共通のテキストを使うとなると、当然、教科書の訳本なるものが流通するのですが。
 その訳本ですが、学期の初めに1冊300円で販売されています。そこらのプリンターで刷ったような出来の割には、高い。高すぎる。寡占産業なのでそれでも売れてしまうのですけどね。学生の弱みに付け込んだ上手い商売です。


 で、訳本の最後には「訳者紹介」とかいって、「センター試験780点」とか「英語もドイツ語もぺらぺら」とかそれっぽい経歴が掲載されているわけですよ。こりゃあどんな名訳がなされているのだろうとページをめくると、


 (原文)right behind -> (訳本)右斜め後ろ


 帰れよ。
 (注:正しくは「すぐ後ろ」)


 1年生用の易しめの教科書でさえこの調子なので、2年生用の教科書になると、それはそれはカオスな訳が展開されています。ていうか、翻訳サイトに流し込んだだけだろコレ。日本語より英語の方がわかりやすいとはどういう了見ですか。
 とりあえず、最大の謎は、既に教科書の全訳が掲載されているWebサイトが存在するにもかかわらず、なぜ訳本を買う人間があんなにも多いのか、ということです。いや、私も去年買いましたけど。