論理と格言

 近所の、ちょっと高級感あふれるパン屋にこんな言葉が書いてあった。

 「からだにやさしいものはおいしい」

 体に優しいものはおいしい。なるほど。おそらく、ここでパンを買うようなハイソなマダムは、パンなどを食べて「ああ、おいしいわ。きっと体にもいいのね」などと思うのであろう。知らないけど。
 だがしかし、実はここには落とし穴がある。論理学の話になるが、「からだにやさしいものはおいしい」が成立するからといって、「おいしいものはからだにやさしい」とは限らないのである。*1つまり、先のハイソなマダムの考えは、全く論理的ではないということができるのである。端的な話、実は彼女が食っているのは劇物かもしれない。
 結局のところ、私がハイソなマダムをそねんでいるだけだという着地点。


 ところで、論理学的には、「からだにやさしいものはおいしい」が成立するとき、「おいしくないものはからだにやさしくない」が成立する。*2
 これを根拠に、これからもどんどん偏食していく所存である。半ば開き直り気味に。
 からだにやさしいはずなのに、取り返しが付かないことになりそうな気がするのはなぜだろうか。

*1:「AならばB」が成立するからといって、「BならばA」が成立するとは限らない。

*2:「AならばB」が成り立つなら、「BでないならばAでない」が成立する。