どうせ逝けている

 突然であるが、イケメンという言葉が嫌いだ。大嫌いだ。


 日本語として、美しくないと思うのである。イケメン。別に、この言葉が私に向けられることが無いからではない。断じて違うと言っておく。


 ところで、これは一体、何の略なのか。「イケ」の部分は、いけてる、でよいだろう。だが、メンとは一体なんなのだろうか。
 面だろうか。イケメン=いけてる面?
 私が高校のときの学校祭でかぶったピカチュウのお面を思い出してしまった。私の黒歴史である。
 それはどうでもよいが、この考え方には少し無理があるだろう。面、という言葉が男女を限定しないものであるのに対し、イケメンという言葉が、女性を形容するのに用いられているというのは聞いたことがない。
 ということは、やはり「メン」の部分はmenを意味していると考えるのが妥当であろう。いけてるmen。こう書くとあまりいけてる気がしないのは気のせいだろうか。
 それはそうと、menという単語は、複数形である。つまり、彼らはイケメンである、という語法が認められるのに対し、彼はイケメンである、という語法には無理があることになる。イケマンと言うべきなのである。ますますいけてる気がしなくなってきた。


 私は、この言葉の、上記のような統一性の無さが嫌いなのだ。と、とってつけたように結論付けておく。しつこいようだが、その言葉が私に向けられないからではない。決してない。