卑小なピーターパン

 私の家の近くに500円でステーキが食べられる店がある、というのは前に書いたとおりである。肉は150グラム。ご飯大盛りと味噌汁も付いてくる。あとコーンも。
 さらにこの店では、ビッグステーキだかジャンボステーキだかという名称で、300グラムの肉が1000円で食べられる。空腹がひどいとき、ちょっとリッチな気分に浸りたいときには最適である。これも、ご飯大盛りと味噌汁つきだ。あとコーンも。



 だが、いったん立ち止まって考えてみよう。
 500円のステーキを2つ頼んだら、肉は300グラムだが、ごはんと味噌汁は1000円のものの2倍食べることが出来るのではないか。
 ということをある人に話したら、心底あきれたような表情をされた。多分、これは気づいたとしても見なかったことにしなければならない、いわば社会の闇なのだと思う。
 そして、見なかったことにできるということが、大人になるということなのかもしれない。



 だけど、それが大人になるということなら、私は子供のままでいい。



 ごはんと味噌汁の間で揺らぐ青年期。ちょっと控えめなピーターパンシンドローム